最終ガイダンスの要点

2025年9月24日

、FDAは最終ガイダンス「Computer Software Assurance for Production and Quality System Software」の入手可能性をFederal Registerで公示しました。対象は医療機器の製造・品質システムで使用されるコンピュータおよび自動データ処理システムで、MESはその中心にあります。

中核概念は「コンピュータソフトウェアへのリスクベースアプローチ」です。テスト一辺倒ではなく、実リスクに比例した検証活動への集中を認め、非スクリプトテスト(unscripted testing)を公式に許容します。既存ガイダンス「General Principles of Software Validation」のSection 6(自動プロセス装置および品質システムソフトウェアのバリデーション)を置き換え、21 CFR Part 820を基礎に21 CFR Part 11にも言及しています。2022年9月のドラフトに寄せられた意見を反映し、定義の追加、テスト事例の拡充、ケーススタディが追加されました。

背景:「バリデーション疲れ」への当局側の回答

医療機器・医薬品業界では、リスクの低い機能にまで網羅的なスクリプトテストと膨大な文書を課す従来型CSV(コンピュータ化システムバリデーション)が、システム導入の速度とコストを圧迫してきました。CSAは「保証(assurance)に足る活動をリスクに応じて選ぶ」という考え方への転換であり、ドラフト段階から業界の支持を集めていました。最終化により、この方針が当局の正式な立場になりました。

一方でEUは同時期に、GMP Annex 11改訂案とAI向けAnnex 22新設案でセキュリティ・監査証跡側の要求を強めており、「FDAは緩め、EUは締める」という非対称が生じています。

MESユーザー・検討中の企業への影響

実務上の最大の変化は、MES導入・改修のバリデーション工数見積もりの前提が変わったことです。リスク評価に基づいてテスト戦略を層別すれば、低リスク機能の検証は大幅に軽くできます。逆に言えば、ベンダーやSIerが従来型の網羅的テスト前提で見積もりを出してきた場合、CSAベースの再見積もりを求める根拠ができました。

工数への具体的影響はFDA CSAでバリデーション工数はどう変わるかの記事を、EUとの非対称はFDAは緩め、EUは締めるの記事を、電子記録の基礎は21 CFR Part 11の記事で詳しく扱っています。

この記事に出てくる用語

MES用語集(日・英・中)をすべて見る

この特集について

規制がMESに求めるもの

FDA CSA、EU GMP Annex 22、DPP。規制の改訂はそのままMESの要件になる 全73本

  1. GAMP 5とは?コンピュータ化システムを検証する業界標準ガイド
  2. Tulipの10月6日発表を想定工場の1時間に置く──7つの新機能はどの場面に効くか
  3. ISO 9001の要求事項をMESに写像する、品質マネジメント電子化の設計図
  4. ライフサイエンス企業の54%が1年内にサイバー攻撃、Rockwellが「常時査察対応」を提言(2026年10月)
特集の記事をすべて見る →

この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス MESソリューション部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。