そもそも、MESAに何が起きたのか?

MESA Internationalは会員の議決により、2026年6月30日付で活動を終えました。同じ日にISAが、MESAの教育プログラムとコンテンツを含む一部の資産を引き継いだと発表しています。

ISAは米ノースカロライナ州ダーラムから出した2026年6月30日付のプレスリリースで、この引き継ぎを公表しました。ISAのCEOであるClaire Fallon氏は、MESAが業界の教育と知識共有に意味のある貢献をしてきたと述べています。MESA側では会長のKhris Kammer氏が、ISAを「MESAの資産、コンテンツ、コミュニティの新しい拠点」と位置づけました。同氏はその理由として、ISA-95やISA-88といったISAの規格が、MESAの教育活動の多くで技術的な土台になってきたことを挙げています。

MESAが規格づくりの側と組むのは初めてではありません。2012年5月22日には、バッチ製造の業界団体WBF(旧称World Batch Forum)との合併で最終合意しています。当時WBFが手がけていた仕事の中にはB2MMLの開発も含まれており、WBF幹事のDennis Brandl氏は、そのことが合併を決めた大きな理由だったと述べています。今回の移管によって、ISA-95の規格本体と、その教育やコミュニティの活動が、1つの団体のもとに集まりました。

発表に書かれていないことは何か?

ISAの発表文には「B2MML」という言葉が一度も出てきません。MESAモデル(MESA-11からスマートマニュファクチャリングモデルまでの機能モデル)についても、個別には触れていません。引き継ぎの範囲は「教育プログラムとコンテンツを含む一部の資産」と書かれているだけで、利用方法や提供時期、今後の計画は「ISAのチャネルを通じて追って知らせる」とされています。

当社は2026年11月5日に、主なURLの状態を確かめました。結果は次の表のとおりです。

対象発表での扱い11月5日時点の状態(当社確認)
教育プログラム・コンテンツISAが引き継ぐと明記利用方法の案内はまだ出ていない
MESA会員2026年末までISAへ無償で移れる(任意)期限まで約2カ月
mesa.org記載なしトップページはISAの移管案内ページへ301で転送される。MESAモデルの解説ページ(/topics-resources/mesa-model/)は404
B2MML・BatchML(GitHub)記載なしリポジトリは公開されたままでアーカイブ表示もない。READMEは今もMESAの認定プログラムを案内している
B2MMLの利用許諾記載なしLICENSEは「Copyright 2020 MESA International, Version 0700」のまま。無償で使用・改変・再配布でき、条件はMESAを原作者として表示すること
MESA Internationalの4つの資産(教育コンテンツ、会員、mesa.org、B2MML)について、現在の状態と未確定の点、区分をレーンごとに示した図 現在の状態 未確定・注意点 区分 教育プログラム・コンテンツ 会員 mesa.org B2MML・BatchML 6月30日にISAが引き継いだ 利用方法・時期はISAが追って案内 ISAへ無償で移れる(任意) 期限は2026年末 トップはISAの案内へ転送 MESAモデルの資料ページは404 GitHubで公開が続いている 今後の管理主体は発表なし 一部未定 期限あり 当社確認 未定
MESAの資産ごとに、発表で明記されたことと、まだ決まっていないことを並べた(2026年11月5日時点、当社確認を含む)

自社に関係があるのは、どんな工場か?

関係が深いのは、ERPとMESの間のメッセージにB2MMLを使っている工場と、社内の要件定義書やRFPでMESAモデルを引用している工場の2つです。MESAの会員でなくても、この2つのどちらかに当てはまれば影響を受けます。

B2MMLはISA-95(IEC 62264)のモデルを、実際に送受信できるXMLスキーマとして形にしたものです。最新版のVersion 7からはJSONスキーマも用意されています(詳しくはB2MMLの解説記事)。スキーマはGitHubで公開が続いており、LICENSEの条件も変わっていないので、いま稼働しているインターフェースが明日から使えなくなることはありません。気になるのは中長期の話です。ISA-95 Part 1は2025年に改訂されましたが(ISA-95 2025年改訂の記事)、B2MMLは、当社が確認できた範囲では2020年のVersion 7が最新のままです。新しいモデルにB2MMLを合わせる作業を、これから誰が担うのかはまだ発表されていません。

規格本体と実装スキーマが同じISAのもとに集まったので、両者の版はそろえやすくなる、というのが編集部の見立てです(推測)。ただ、ISAがB2MMLを引き継いで改訂していくという発表は、11月5日時点で出ていません。

MESAモデルを引用している場合は、もう少し身近な問題があります。社内の文書に貼った「MESA-11」の出典リンクが、すでに開かなくなっている可能性が高いからです。モデルが何度改訂されてきたかはMESAモデルの変遷の記事にまとめています。

年末までに、何をすればよいか?

稼働中のB2MMLのスキーマを手元に固定し、社内文書の出典を差し替え、MESA会員の場合は年末までに移行を決める。この3つで足ります。

1つ目は、インターフェースで使っているB2MMLの版とファイルを、自社のリポジトリか文書管理システムに保存しておくことです。GitHubのコミットを記録しておけば、のちにリポジトリが移されたり整理されたりしても、どの定義で作ったかをたどれます。ベンダーに「対応バージョン」を尋ねるときの照合先も、この保存版になります。あわせて、LICENSEが求める表示(「The Business To Manufacturing Markup Language (B2MML) is used courtesy of MESA International.」)が、自社の設計書やベンダーの納品物に入っているかも確かめておきます。

2つ目は、要件定義書やRFPの出典を見直すことです。mesa.orgへのリンクは、すでに開かないものがあります。MESAモデルを引いている箇所は、手元に残っている資料の写しと取得日を出典として記録するか、機能の定義をISA-95(IEC 62264)の活動モデルで書き直すかを決めます。MESAモデルとISA-95は別物なので、リンクだけを差し替えると意味がずれます。ISA-95の版の違いを社内で説明する資料が必要なら、ISA-95 2025年改訂 要点サマリーで、Part 1の変更点を1冊で確かめられます。

3つ目は会員の扱いです。ISAへの無償移行は2026年末までで、移るかどうかは任意です。MESAの会員だった社員がいる場合は、移るかどうかを年内に決めます。問い合わせ先として、ISAは[email protected]を案内しています。

ISAの続報は、どこで追えばよいか?

ISAの発表は、利用方法や今後の計画を「ISAのチャネルを通じて」知らせるとしています。追う先は3つで、ISAのニュースリリース一覧、mesa.orgの転送先になっているprograms.isa.orgの移管案内ページ、B2MML-BatchMLのGitHubリポジトリです。

GitHubで見るのは、READMEの記述、リポジトリの所有者、LICENSEの著作権者の3点です。このどれかがISAに変われば、B2MMLの管理を引き継いだ合図と読めます。逆に、リポジトリがアーカイブされた場合は、版の更新が止まったと考えて、ISA-95の新しい版とどうそろえるかを自社で決める必要が出てきます。当編集部も続報が出た時点でこの記事を更新します。

よくある質問

MESA Internationalは解散したのですか?

MESA Internationalは会員の議決で、2026年6月30日付で活動を終えました。同じ日に、ISA(国際自動化学会)が教育プログラムとコンテンツを含む一部の資産を引き継いでいます。MESAの会員は、2026年末までISAへ無償で移ることができます。

MESAがなくなってもB2MMLは使い続けられますか?

使い続けられます。B2MMLのスキーマはGitHubで公開が続いており、LICENSEはMESAを原作者として表示することを条件に、無償での使用・改変・再配布を認めています。ただし、当社が確認できた最新版は2020年のVersion 7で、今後の改訂を誰が担うかは2026年11月5日時点で発表されていません。

MESAモデル(MESA-11)の資料はどこで見られますか?

2026年11月5日時点で、mesa.orgのトップページはISAの移管案内ページに転送され、MESAモデルの解説ページは404になっています。ISAは、引き継いだコンテンツの利用方法を追って案内するとしています。社内文書でMESAモデルを引いている場合は、手元の写しと取得日を出典として残すか、ISA-95(IEC 62264)の活動モデルで書き直すかを決めておくと、リンク切れの影響を受けません。

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この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス MESソリューション部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。